うつりというもの
少しして、小百合が目を開けた。
小百合となった静香の身体は、ゆっくりと起き上がった。
静香の首を抱えたうつりが振り返ると、それは部屋を出て行くところだった。
「どこへ行く?」
小百合はふらふらとそのまま外に出て行った。
「どこに行くのじゃ?」
小百合は何も答えず、振り向きもせずに、一心不乱にどこかへ行こうとしていた。
エレベーターにも乗り、下へ降りて行った。
うつりが白いワンピースの後ろを掴み、止めようとしたが、止まることはなかった。
首が身体を見つけると、それで終わりのはずだった。
「どこに行くのじゃ?もうその身体は保たぬ」
うつりはそう言いながら、小百合の後を付いて行った。
だが、やはり無理だったようだった。
小百合の歩き方がゆっくりとなり、ふらつきも大きくなった。
そして、とうとう立ち止まった。
「よくぞ、ここまで…」
小百合の意思が途切れかけたので、うつりはやっと彼女の身体を操れた。
すぐ横にちょうど人の気配のない家があった。
「誰もおらぬな。ここでよい」
うつりは小百合をその家に入らせた。
一番奥の部屋に行かせると、そこで終わりにさせた。
小百合は虚ろな目でうつりを見ていた。
「何かして欲しいのか?」
うつりに聞かれて、小百合の口がゆっくりと動いた。
「わかった。伝えよう」
小百合は、それを聞くと、何か安堵したようなやわらかな表情で目を閉じた。
うつりは、優しく微笑んでいた。
「ゆるりと休むがよい」
小百合は、返事をしたようにも見えた。
小百合となった静香の身体は、ゆっくりと起き上がった。
静香の首を抱えたうつりが振り返ると、それは部屋を出て行くところだった。
「どこへ行く?」
小百合はふらふらとそのまま外に出て行った。
「どこに行くのじゃ?」
小百合は何も答えず、振り向きもせずに、一心不乱にどこかへ行こうとしていた。
エレベーターにも乗り、下へ降りて行った。
うつりが白いワンピースの後ろを掴み、止めようとしたが、止まることはなかった。
首が身体を見つけると、それで終わりのはずだった。
「どこに行くのじゃ?もうその身体は保たぬ」
うつりはそう言いながら、小百合の後を付いて行った。
だが、やはり無理だったようだった。
小百合の歩き方がゆっくりとなり、ふらつきも大きくなった。
そして、とうとう立ち止まった。
「よくぞ、ここまで…」
小百合の意思が途切れかけたので、うつりはやっと彼女の身体を操れた。
すぐ横にちょうど人の気配のない家があった。
「誰もおらぬな。ここでよい」
うつりは小百合をその家に入らせた。
一番奥の部屋に行かせると、そこで終わりにさせた。
小百合は虚ろな目でうつりを見ていた。
「何かして欲しいのか?」
うつりに聞かれて、小百合の口がゆっくりと動いた。
「わかった。伝えよう」
小百合は、それを聞くと、何か安堵したようなやわらかな表情で目を閉じた。
うつりは、優しく微笑んでいた。
「ゆるりと休むがよい」
小百合は、返事をしたようにも見えた。