甘え下手の『・・・』
「なるほど、今井、ね。うん、聞いてる」

今井さんに睨まれたことを橋本くんに話すと予想外の返事が返ってきた。

「聞いてるって筧くんから?」

「うん、仕事しないくせにまとわりついて邪魔だって言ってた」

「筧くん、冷たかったもん」

彼はクールだけど、人とはちゃんと向きあう人だ。ちゃんと話も聞いてくれるし、サラッとアドバイスなんかもくれる。余計なことを言わない分、その一言にとても重みがあるのだ。

今井さんには関わりたくないのかそっけない、というより近づくな、みたいな。そんな筧くんの態度をみたのは初めてだった。

「今井さん、気にしてなかったみたいだったけどね」

「そこがまた面倒だよな~。若いってこえーよ」

「若さだけじゃないでしょ。あんだけ可愛かったら」

「かわいいかぁ?化粧濃いだけじゃん、オレはパスだなぁ。」

ムリムリと首をふる橋本くん。そう言えば…

「橋本くん、彼女いたっけ?」

「相沢、それ聞く?オレ泣いちゃうよ?」

橋本くん、人の世話焼いてる場合じゃないでしょうよ…。

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