甘え下手の『・・・』
甘え下手の『自信がないんです』
新商品の販促企画が会議を通った。店頭イベントも決まり忙しくなった私は筧くんへの『想い』に気づいたくせに何も動こうとしていなかった。
『ゆっくりでいいぞ』という筧くんの言葉に甘えていた。…普段は素直に甘えられないくせに、『逃げ』には利用するなんてホント嫌になる。

「相沢、頑張ってるじゃーん」

「橋本くん?どうしたの?」

販促のフロアに橋本くんがやってきた。社内でも人気のある橋本くんが来たことでフロアの女子たちがざわめきだす。

「区切りつく?たまには昼一緒しようぜ?」

「行けるけど…」

「んじゃ行こ行こ。じゃ販促の皆さん、おじゃましました~」

笑顔とともに手を振る橋本くんに女の子たちはキャーキャーいいながら手をふりかえしていた。こんなにモテるくせに彼女がいないと嘆く橋本くん。理想が高いんじゃないのかな、って思った。

バックを持ちフロアを先に出ていった橋本くんを追いかける。エレベーターホールで追いついた彼に聞いた。

「黙秘権は通じるかしら?」

「まさか、通じるわけないっしょ?」

ですよね…
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