甘え下手の『・・・』
「今度の企画いいじゃん、」

訪れた洋食屋で橋本くんはまず仕事の話をしてきた。

「商品企画したヤツも喜んでたよ。シンプルなんだけど商品の一番大事なところ出してくれてるって」

「ホントに?うわぁ、嬉しいな…」

素直に嬉しかった。作品を生み出した人、商品化した人、これから売り出す人。一つの商品にいろんな人が携わる。私もその中の一人であることが嬉しい。

「Bsデパートで店頭イベントも決まったんだって?」

「そうなの。営業が頑張ってくれてね」

「ふぅん」

急にニヤニヤしてくる橋本くん。しまった…。

「営業って、筧だろ~?いやぁ、愛されちゃってますねぇ?」

「仕事ですから、仕事!それより何頼むの?早く決めなきゃ時間なくなるよ」

ニヤニヤしている橋本くんの顔面にメニューをぶつける。

「ちょっと待てって、あっ!こっちこっち」

こっちこっちって…誰?と振り返ると

「やっほー、お疲れ~」

真由香と、その後ろに

「おぅ、お疲れ」

筧くんだった。

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