甘え下手の『・・・』
「何よ~いい感じじゃない?」

「うんうん、いい雰囲気じゃね、お二人さん」

からかわれて小さくなっている私をよそに、筧くんは店員さんを呼んで注文をしている。そして

「相沢、Bsデパートの店頭イベント、店との打ち合わせお前行ける?」

「もちろん、お願いします」

仕事の話をし始めた私達に

「ダアッー、そうゆう話はオフィスでやりなさい!」

真由香がキレました。

「そうだそうだ。オレ達のさっきの冷やかしはスルーか?」

橋本くんもキレました。

そんなことを言われてもなんと答えていいのかわからないしスルーするのが一番だと思っていたのだけれど

「いい感じだし、いい雰囲気だけどまだ付き合ってはいない。この返事でいいか?」

筧くんが淡々とした口調で答えた。驚いた私は筧くんを見上げる。

「お前らの気持ちはありがたい。でもコイツにはコイツのペースがある。オレはそれでいいと思ってる」

『急かさないでやってくれ』なんて言う筧くんに胸が熱くなる。
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