甘え下手の『・・・』
「わかった。筧がそれでいいならオレはもう何も言わない。…相沢?」

呼ばれてうつむいていた顔を何とかあげる。

「お前だってもうわかってるんだもんな?筧、いい男だろ?」

『オレの次にな』とイタズラに笑う橋本くんにうなづくことしかできない私。

「とりあえずイベント成功するといいな。二人とも頑張れよ!」

「おぉ」

「うん、ありがとう。頑張る」

運ばれてきた食事を食べ始める。橋本くんが中心となって会話が進められていたけど、真由香は何にも話さなかった。ただ黙々と食べていた。私は真由香が気になっていたのだけれど声をかけることができなかった。真由香が私のはっきりしない態度に怒っているのがわかっていたから。

オフィスへの帰り道も真由香は私を見ることさえしない。

真由香、私わかってるんだよ?でも…

「大丈夫だ」

泣きそうな私に筧くんが優しい声をかけてくれる。

「梶本だってお前のことわかってる。だから大丈夫だ。そんな顔するな」

こんなに私を理解してくれている筧くん。私は一体何をそんなに怖がっているのだろう。
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