甘え下手の『・・・』
「それでは当日よろしくお願いいたします。本日はお時間を頂戴しありがとうございました」

Bsデパートとの打ち合わせが終わり大きなため息をつく。

「お疲れ、当日が楽しみだな」

「筧くんのおかげで説明も納得してもらえたみたい。ありがとう」

筧くんと仕事を一緒にすることは今までも何度かあった。でもお互いが担当者として組むのは初めてで、改めて筧くんの実力を見ることができた。

「企画がいいと営業もやりやすい。お互いさまだ」

得意のニヤ顔にも胸がときめくのだから私はもう重症だ。

このイベントが終わるまでは、と仕事を『逃げ』にしている私。相変わらず一歩踏み出す勇気がでないでいる。
気持ちは自覚しているのに、もうはっきりとしているのにだ。

「少しサボってくか、気分転換」

そう言って筧くんはオフィスまでの通り道にあるカフェに入っていく。私は慌ててそれについていく。

注文をし席につき筧くんと向き合う。

「営業さんてこうやってサボってるんだ」

「外回りの特権だな」


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