甘え下手の『・・・』
会社に戻ると今井さんが駆け寄ってきた。筧くんはそれを見てため息をついた。

「筧主任。どこ行ってたんですかぁ？」

「行き先はちゃんと予定表に書いてあったはずだ」

「だってぇ、筧主任がいないと私不安でぇ」

この子はちゃんと仕事してるのかな？筧くんの事ばかり追いかけているけど。筧くんも同じように考えていたらしくため息をつきながら、

「今井、仕事をしてくれ」

と言った。

「はぁい。じゃ一緒にフロア戻りましょ」

と筧くんの腕にてを伸ばしたが筧くんはそれを交わしスタスタとあるきだす。

「筧主任、待ってくださぁい」

めげない今井さんは筧くんにピタッとくっついていく。それを呆然と見送る私を振り返ると、ニッコリと笑った。とても好意的な笑顔ではなかった。

「瑞希」

そのまま固まっていた私の後ろから真由香の声がした。

「真由香…」

４人でランチをしたあの日から真由香と話をしていない。はっきりしない私にイライラしていた真由香からも逃げていた私は、本当にどうしようもない。今も真由香と向かい合うことが怖いと思っている自分がいる。
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