甘え下手の『・・・』
森田課長の真由香への愛情は深い。こんな私に『頼むな』なんて言ってくれる。何も答えられない私に

「後悔しないようにな」

と真由香と同じ言葉を残していった。



Bsデパートでの発売イベントまであと3日。
デパートでの最終打ち合わせ、筧くんと一緒だ。

「相沢、出れるか?」

筧くんが販促フロアまで迎えにきてくれた。

「はい!出れます。じゃ、打ち合わせ行ってきますんでお願いしますね」

同僚に挨拶をし廊下で待っていてくれた筧くんに駆け寄る。

「お待たせしました」

あの夜から筧くんは何も言わない。私も。仕事の会話のみだ。

「行くぞ」

背中を向ける筧くんについていく。そこで気づく

「あっ。あれ?今井さ「筧主任~」

質問をしようとした内容の答えが向こうからやってきた。

「もう!おいていかないでくださいよ~。…あっ、相沢さんどーも~」

「…お疲れ様です…」

筧くんの腕にすがるようにくっつく今井さんにももう見慣れた。痛む心を隠すのももう慣れた。





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