甘え下手の『・・・』

筧くんの低い声と同時に聞こえてきたのは

「真由香…」

今井さんをこれでもかという冷たい目で睨みながら真由香が近づいてきた。

「アンタ、バカでしょ？…まぁ、見た目からバカ丸出しだけど」

「何ですか！失礼ですよ！」

「どっちが失礼？自分のくっだらない持論、こんな場所で披露してマジメにやってる瑞希を貶めて。アンタそれで筧くんが手に入るとでも思ってんの？アホにも程があるわ」

「同感～」

背後から聞こえてきた緊張感を壊す呑気な声に振り向くと橋本くんが声とは正反対の表情をしていた。

「今井さんさ～、何をアピールしたいのかよくわかんないけど、君のやってること、全て逆効果。今ここにいるみんなの顔見てみ？誰一人君に賛同してないっしょ。あっ、賛同って意味わかる？」

呑気な口調で辛辣な言葉をはく橋本くんは筧くんの隣にたち、

「見てこの顔。無表情でわかんないと思うけどね、かなり怒ってるよ、覚悟しなね？」

「今井」

筧くんの低い声に橋本くんは『恐いよ～』と煽りながら一歩下がった。