甘え下手の『・・・』
「筧主任!」

突然聞こえた低い声に驚いたのは今井さんの方が先だった。座っていたデスクから飛び降り焦っている。私はこちらへゆっくりと歩み寄ってくる筧くんをただ追っていた。

「今井、そうゆう関係ってなに?」

「…それはっ!」

「おれ、お前とシタ覚え全くないけど」

低く冷たい声と表情。いつも気にせずに筧くんにすり寄る今井さんも固まっている。

「別にお前にどう悪く思われようと構わない。ただ…」

大きく息を吐いた筧くんは見たこともない冷たい目で

「相沢を傷つけるのは許さない」

と言いきった。

「昼間の暴言といい、見過ごすことはもうできない。上司として上に報告させてもらう」

「そ、そんなの、関係ないじゃないですか!公私混同です!」

「ちゃんと仕事してから言えよ。救いようもねぇな」

吐き捨てるように言う筧くんに今井さんも引き下がらない。

「そんなこと言うなら、私だって訴えます!セクハラされたって!」

「今井さん!」






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