甘え下手の『・・・』
手を引き寄せられ筧くんの腕の中に包まれる。

「最初っから離す気なんてねぇよ。余計な事考えんなアホ」

言葉はキツいのに抱きしめてくれる腕はとことん優しい。私もそっと筧くんの背中に手を回す。

「うん、アホでした。筧くんとずっと一緒にいることだけ考える。だから…そばにいさせて?」

腕の中から筧くんの顔を見上げると優しく微笑んで

「やっと流される気になったか?」

「ううん、流されたんじゃないよ。ちゃんと自分の足で歩いてきた。…時間かかっちゃったけど」

「待ってた」

そう言ってまた腕の中に戻される。筧くんの胸の鼓動を聴けることの幸せを感じていると

「そう言えば、お前、さっき今井に身を引くようなこと言おうとしなかったか?」

「えっ?あ、あれは…」

私の頭を撫でながら『勘弁してくれよ』と不機嫌な声をだす。

「だって、そうゆう関係だって。あの時だって筧くん何も言わなかったじゃない、だから…」

しどろもどろになりながら言い訳すると
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