甘え下手の『・・・』
「あのなぁ、言わなくてもわかるだろう?普段あれだけの態度でいたのに、急にそんな関係になるわけないだろ?」

呆れた声の筧くん。それはそうだけどさ…
『それに』と筧くんは私の顔を覗きこみながらつづけた。

「お前のことも抱いてないのに、他のオンナ抱くなんて考えられない。興味もねぇな」

ニヤッといつもの笑いをしながら私の反応を待つ。私は顔が熱くなるのを隠すように筧くんの胸に顔をうずめた。

「…筧くん…」

『ん?』とまだクスクス笑いながら返事を返される。

「筧くん、好き」

筧くんの笑いがとまり、背中がピクッと反応した。

「筧くん、好き。好き…」

無理に塞き止めていた想いが溢れだしたかのように言葉にしていた。背中に回した腕の力を強くししがみつく。

「好き…」

「っわかったから、もう黙れ」

私の力よりももっと強い力で体を引き離された。そして塞ぐように唇を合わされる。両頬を大きな手で挟まれ、角度を何度も変える。噛みつくようなキスは次第に優しくなっていき名残惜しそうに離れていった。そして

「…オレも好きだ…」





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