甘え下手の『・・・』
陸斗の言葉に泣きそうになった。
いつもどんな時も私を見守って待っていてくれる陸斗。はっきりしない、頑固で素直になれない私のことをいつも。

いったん陸斗から離れた私の顔を不思議そうに覗き混む陸斗。その唇に自らキスを落としたあと強く抱きついた。

「…珍しいじゃん、瑞希からキスするの」

「したかったの」

からかう陸斗に素直に答えると、陸斗の腕の力も強くなった。

「瑞希、お前、全然『甘え下手』なんかじゃないな」

「えっ?」

「こんなに甘えてくれるなんて思ってなかった」

「それは…陸斗が甘やかしてくれるから…」

自分でできることは今まで通りやってるつもりだ。仕事も今まで以上に頑張っている。でもそれは陸斗がいてくれているから。大きな支えになってくれていて、私の力となってくれている。

「もう『一人で大丈夫』なんて思えないよ。陸斗がいなきゃ…」

いい終わる前に今度は陸斗からキスをされた。さっき私からしたキスとは違い長く深いキス。

< 71 / 73 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop