君の向こうのココロ
急に昔の理緒の面影がちらつく。


みんなに囲まれて刺激を受けたせいか、理緒が自分の気持ちを言おうとしてる。


「私は神村理緒をやめたいと思います。」


「よく言った。姉貴！」
「お姉さん、かっこいい！」


貴くんと日菜ちゃんがわくわくしてそうな顔をする。


「理緒。」


僕も理緒の顔を見て笑ってみた。


なんかやっとオープニングの曲が始まったようなそんな気持ち。


色々自信を付けて、変わろう理緒。


前の素敵な理緒に変わろう。


僕らは一致団結したところで、ようやく例の写真を二人に見せた。


「この人…うちの取引先の受付の人だよ。」


日菜ちゃんが、指をさして名指したのが、ケータイのフォルダでいう「恵子」


この人は長谷部通運の受付で「後藤恵子」という人らしい。


貴くんの勤務先の配送会社の関係で毎日のように日菜ちゃんが伝票を送っているらしい。

たまにパソコンの調子が悪い時は車で届けるので、その時に挨拶して、覚えていたという。


世間はなんて狭いのだろう。


悪い嘘はつけないものだと思ってしまった。


結婚相手の男性は、その長谷部通運の次男坊というから驚きである。
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