君の向こうのココロ
それに理緒の器の大きさには脱帽である。


旦那に無関心とはいえ、大抵急いて離婚だなんだと大騒ぎするであろうに、理緒はとても落ち着いていた。


落ち着いていた方が得だということなんだな。


理緒は昨日の事もあってか、落ち着いているのかな…。


昨日…


まだ10時間も経ってない。


僕の中ではとても大きな出来ごとなのに…理緒はさらっとしてるけど、ドキドキしなかったのかな。


僕は神村と比べてどうだったのかな。


ブンブンブン、


僕は首を横に振っていた。


比べてどうする。


あんなやつと…。


「兄貴…。」


良いとか悪いとか気にするなんて、それこそ器ちっちゃいか…


僕ってどうなんだ…。


「あにきってば!」


貴くんに笑いながら呼ばれて、我に返った。


「なぁに考えてたんですか。」


いや、ゆうべのHのこと…


なんて言える訳ないよなぁ。


理緒の顔をちらっとみてみる。


あれ、真っ赤な顔して僕を上目遣いでみている。


「兄貴の彼女は今全て白状しましたけど…。」


貴くんが呆れた顔して僕に告げた。


理緒…言っちゃったのかよ。
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