君の向こうのココロ
「理緒…ちょっと。」


僕は理緒の手を引いて、子供部屋へ連れて行った。


「な、なんですかぁ…。」


理緒が泣きそうな声をあげる。


「貴くんに言ったの?」


僕は理緒にとにかく急いで聞いた。


「うん。言ったよ。」


だー。なんて言ったの。


「言っちゃダメだった?」


理緒がきょとんとした顔で聞き返してくる。


「は、ずかしいでしょ…。」


「???。それは恥ずかしいけど…。」


「理緒は平気なんだ。」


僕は少し不機嫌になってきた。


「平気って?」


「したとか、貴くんに言って平気なの?」


僕は投げやりだった。大切な事を弟だからってペラペラ話しちゃうのかよ。


「晶、そんな事で怒ってるの?」


理緒がそんな事って…


「理緒にとってそんな事でも僕には大切な事なんだよ…。」


やっぱり言って欲しくなかったよ…。


「晶!言ってないよ。」


「えっ。」


「怒らないで、私が言ったのは、想いを打ち明けた事だよ。」


「へっ?Hのことは…」


「Hは私も大切と思えたから、誰にも言えないし言わないよ。」


理緒は笑顔で言ってくれた。
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