君の向こうのココロ
「なんだ…てっきりゆうべのこと話したのかと思ったよ。」


首筋をボリボリと掻きながら、僕はひどく照れていた。


「ゆうべのことなんて、言えないよ。2度と出来ないかもしれないのに…。」


理緒がとても切なそうに、僕に言った。


「2度と?」


僕は聞き返した。


「そうよ。もう出来ないかもしれないのに、人に容易く話さないよ。晶…。」


そっか…。公になんてしたら、会う事すら出来ないかもしれないんだ…。


「貴なら平気だとは思うけど、あの子ニヤニヤ笑って詮索すると思うし、二人だけの秘密にしたいし…。」


二人だけのね…


!!


…秘密…。


僕の耳が過敏に反応した。


そうだよな。こりゃ秘密以外の何でもないよ。


それを理緒が容易く話すわけないか…。


理緒に対して申し訳ないことをした気持ちでいっぱい…。


理緒はそんなこと関係ないって顔で僕を見つめてる。


「晶?素直になってきたね。」


理緒がふと笑った。


「素直に?僕が?」


「うん。初めてでしょ。私に対して気持ち出したの。」


気持ち?


「いつも何か我慢してるフりして、自分の事抑えてきたんじゃないのかな?」
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