君の向こうのココロ
それじゃ本当の自分を見せないでいてもよくないってことなのか、


この歳になるまで学校でも会社でも愛想笑いをしてココロから、他人に接したことなかったかもしれない…。


「晶、そんな深く考えないで。晶らしく過ごしてください。どちらがココロを楽にするのか、自分がよく分かるでしょ。」


理緒は愛くるしい笑顔で僕にそう言ってくれた。


さりげなくだけど、僕に教えてくれた。


「理緒…ありがと。」


僕は少し照れながら、今までとは違う、ココロからの感情でありがとうと言えた気がした。


理緒は慈愛のまなざしが強い。


人を包み込む何かかある。


その愛を手放したくない。


きっと、神村も理緒から離れられない理由の一つなんだと今痛烈に思った。


独占欲の強い神村なら、易々と理緒と別れたがらないのも、分かる。


「かといって、何でもかんでも、神村みたいに要求しないでね?。」


と、理緒が声を出して笑っている。


「まさか。僕はそこまでしないよ。」


僕も思わず笑う。


「晶、大好き♪」


理緒がそっと囁いた。


僕はその言葉に全身がムズムズして、理緒を抱き締めたくなった。


けど…我慢。
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