君の向こうのココロ
リビングから奏太くんが、電車を走らせてきたのだ。


「でんしゃはいりまーす。」


理緒は、目尻を下げて笑いながら、奏太くんと遊びはじめた。


子供部屋から出る一瞬に僕をちらっと振り返って、ウィンクした。


僕の顔は一気に真っ赤になったことだろう。


そのまま貴くんのいるリビングに戻った。


貴くんは晴夏ちゃんとぬりえをしていたようで、器用に色を使い分けて、几帳面に塗っている。


晴夏ちゃんも手を止めて、貴くんの塗り方を食い入るように見つめている。


「貴くん。上手だね~。」


「ぬりえなんて、姉貴の方がうまいよ。」


「貴くんも、うまいよ。」


そのとき日菜ちゃんがやっと起きて来た。


目をしょぼしょぼさせながら、ふらふらとこちらへ向かって歩いてくる。


「寝すぎましたぁ~すみません。」


トロッとした口調に、まだ半分寝ているなと一同が思える。


「日菜ちゃん。ご飯食べよ。」


部屋の窓からは太陽の陽射が、差し込んできて、今日も暑くなりそうなそんな予感をさせる。


ほんわかとした部屋の雰囲気は明らかに理緒が作り出している時間だと思った。
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