君の向こうのココロ
金魚が逃げる絵本。


象が井戸におちる本。


手袋に動物さんがたくさんはいる本。


まだまだまだまだある。


全て晴夏ちゃんが解説してくれた。


「すごいね~。覚えちゃってるの?」


僕が感心してると、当たり前よ~って顔をして、晴夏ちゃんが言う。


「ママが寝る前に読んでくれたんだ。だから、すぐに覚えちゃうよ~。」


「奏太はねぇねが読んでくれるよ。」


僕が晴夏ちゃんと話していると後ろから奏太くんが鼻息を荒くして、教えてくれた。


「そっかぁ、みんな優しいんだね。僕も読んでもらおうかな。」


「うん。いーよ。」


意気揚々と答えてくれた奏太くん。


僕は子供達に囲まれて幸せだった。


この子たちは愛情をたっぷり受けてる。


「あのね、あっきー。ママね、苦しくて泣いてるときあるの。」


突然の申告に僕の頭は準備できてなかった。


僕と絵本の話をしてリラックスしたのか、晴夏ちゃんが普段の理緒のことを話してくれた。


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