君の向こうのココロ
「苦しい。はるか、背中トントンしてってママ泣いちゃうの。はるかもかなしい。」


切迫した状況が伝わってくる。

必死にこんなに幼い子が僕に何かを伝えようとする。


「ママは何が苦しいのか言ってた?」


難しいことを聞いたとは思ったけど、駄目元で聞いてみた。


「うー。わかんないけど…ケータイが鳴ってると泣いてたよ。苦しいって」


ケータイが鳴ると泣く?


どういうことだろ…


「あとは??」


「わかんないっ」


よく教えてくれたというところか。


「ありがとう。心配だね。ママ。」


「でも、すぐに笑ってくれるよ。」


晴夏ちゃんは言いたい事言えてすっきりしたようで、黙々と本の片付けに集中した。


僕も本棚に本を入れて全て、ぴったりと入ったことにまたびっくりした。


恐るべき職人技…。


本棚の大きさとしまう本の量をうまくコントロールしている…。


おもちゃもなんとなく片付けてみた…。


本当に適当だけど、こんな感じで良いのかな…。


子供部屋の隣の寝室をちらっと覗く。


なぜか僕のココロはどきどきしてしまう。
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