君の向こうのココロ
そのとき、家のチャイムが鳴った。


「ママかな…?」


子供部屋は2階。


急いで階段を駆け降りる。


玄関を開けると理緒が立っていた。


「お帰り。お疲れ様。」


僕が、そういうと理緒はぱっと目をそらした。


耳まで真っ赤になっている。


もしかしてなんかいけないことしたのだろうか、僕。


「なんかついてますかね…」


僕がそう言って理緒の顔を覗き込むと、理緒は照れながら、


「ただいま」


と、一言だけ言った。


「そういえば神村は?」


僕が思い出したように聞くと、

「言っていいのかわからなかったんで言わなかったんですけど、今日は沙空さんと出掛けてます。」


あぁ…


気を使って言わなかっただけなんだね。


「本日はどちらまで?」


「今日は箱根って言ってました。」


箱根ね…。


まぁ仲良しならいいと思います。


「帰っても私たちがいないからびっくりするんじゃないかな。離婚届もおいてきたし。」


「そうなんだ…。」


「あの人がハンコ押すかはまだわからないけどね…。」


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