君の向こうのココロ
なるほどね…。


「で、さぁ…」


僕は神村の話の返事もないがしろに、理緒の真剣な話を聞きたくて仕方なかった。


「ん?」


理緒が無邪気な顔で返事をする。


「さっきの話なんだけど…。」


僕が我慢できなくてそう告げると、目を落として理緒がつぶやいた。



「もうすぐお昼寝だから子供達に寝たら話すね。」


「わかった。」


僕は待ち切れない子供みたいじゃないか…


ココロが自己嫌悪に陥る…。


全くと言って良いほどワクワク感はない。


僕のココロは意気消沈…。


そんな僕の様子に少し悲しげな顔を見せる理緒…。


「そろそろおやつ食べさせましょう。」


と、ぽつりと言って、新しいキッチンへ入る。


僕らは子供達とゆっくり時間を過ごした。


引っ越しの興奮からかお昼寝のおの字の気配すら見せず、子供達はフルパワーで遊んでしまった。


「寝ませんでしたね…。神様が言うなって言ってるのかしら。」


理緒が僕の顔をみつめる。


このまま言わなくても良い。


僕のココロにはそんな言葉が駆け巡る。
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