君の向こうのココロ

夏のはじまり

フラれた…。



たった今フラれた。



ほんの十数秒前に、彼女に別れを突き出された。



―晶則が、何を考えているのかわからない。



これが最初に告げられた一言。



僕だって君が何を考えてるなんてわからない。




いきなり突然なんでそうなるんだろう。




僕が何かを言いたくてココロの中で言葉を探しているうちに、僕のココロは黙った。




諦めて意欲のない瞳の彼女の次の一言が僕のココロをふさいだのだった。




―晶則は、私の気持ちも自分自身の気持ちも、どれもこれも受け止めてないよ。




そのまま、自分に嘘をついて、生きて行けばいいじゃない。




誰かのかわりなんて私にはできないから。




私のことなんだと思ってるわけ?




何で何も言わないの?



もう知らないっ



さよなら―



心が穴を空けられたかのようにさーっと引いていく。



血の気が引いて寒くなる感覚。



そして僕はそんな彼女に何も言えなかった。



でもなにか言いたかった。



閉ざされそうなココロがぴくんぴくんと起き上がろうとしてる。



感情を押し殺すくせが、こんなところでも邪魔をする…。
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