君の向こうのココロ
部活をひとしきり見て、顧問の鈴倉先生に挨拶をし、理緒ちゃんを待った。


それほど時間も経たないうちに、理緒ちゃんがやってきて驚くことを言った。


「神村先輩が暴れてます。」

「えぇっ!」


「今、喧嘩してます…。」


「けんか?!止めなくていいの?」


「工藤さんが『今井は怪我する前に帰れっ』って。」


「なんでまた喧嘩なの?」


理緒ちゃんは言いにくそうだったが、


「プリンのことで…。」


と、言った。


「えぇっ」


たかだかプリンで神村がなぜ喧嘩…?


食べ過ぎてた神村を皆が責めるならまだしも…


嫌なパターンが脳裏を過ぎった。


「もしかして神村逆ギレか…?」


理緒ちゃんが隣りでビクッとする。


そしてゆっくりと僕の顔を見た。


目にはうっすらと涙が浮かんでる。


「り、理緒ちゃん」


「晶則先輩…。プリンで喧嘩なんて初めて見ました。皆私が食べてないこと気にしてて、そこを神村先輩が食べ過ぎなんだとか、始まってしまって…」


「それを聞いて逆ギレかぃ」

「その通りです。怒った瞬間、みんなもキレちゃうし。」
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