君の向こうのココロ
彼女が…沙空が今の僕にとってココロの支えであったということ。




切なくても誰かの代りにしてあったということ。




それが自分自身でわかっていたから、




僕の口が沙空に言い訳したり、謝ったりする言葉を発したりすることはなかった。




できなかったに近い。




今の僕にはそれを認める事すらしたくなかった。




認めたら過去の自分を肯定することになると思う。




そんなことしたらますますココロが痛くなる。



僕には、ただ振り向きもせず、前へ歩いて行く彼女の背中を、見つめているだけしかできなかった。



彼女には申し訳ない事をした…。




沙空の姿が街の中に消えていった。



僕のココロはどきんどきんと音をたてていて、今にもつぶれちまいそうになっている。




終わりってこんなにつらかったっけ。





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