君の向こうのココロ
僕はココロの中で、思い出した。


「あの時も、私の事気にかけてくれて、『無くなっちゃうよ』って言ってくれましたよね。」


「確かにそうだったね。」


「あのときはマネージャーで、今は母ですから。これが私の性分なんです。優しい先輩も、変わらないんですね。昔から。」


「僕は優しいか分からないよ。でもそしたら理緒ちゃんも変わってないって事だね。」


僕の言葉に理緒ちゃんはうつむいてしまった。


そんなつもりなかったのに、ココロはだいぶ焦る。今のセリフのどこに爆弾があったのだろうか…。


そんな僕をよそに、理緒ちゃんはすぐに顔を上げて笑った。


「さっき、本屋で泣いてしまってごめんなさい。色々思い詰めてて…」


「…。今日は聞かないでいようかと思ってたんだけど…。」


心配でたまらなかった。


どうして欲しいのか聞きたいくらいだったし…。


「今日はケーキを食べさせてもらえたので充分です。ありがとう。」


「食べてないやん。食べられちゃってるやん。」


「それもそうですけどね~。」


理緒ちゃんがそう言って笑った。


僕も一緒に笑った。
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