君の向こうのココロ
よく整頓されている。


「僕の部屋と比べてしまうと、雲泥の差ですが…。」


「先輩のお部屋ちらかっってるの?片付けろ~片付けろ~って言うわりには、一番散らかしてるのが信さんなんですけどね。」


いるいる。散らかしてるのに片付けない。


けど散らかっているのは嫌い。


そんなやつがここにもいた…。


「今日はその信さんとやらは、どちらへ…」


やっと聞きたいことが一つ聞けた気がした…。


僕はリビングのテーブルの前に座る。


理緒が軽い口調で話した。


「社員旅行です。」


「旅行…?この時期に?」


「旅行っていうのは、きっと嘘ですから。それにこの時期珍しいでしょ。」


ダージリンティーのいい香りを漂わせながら、理緒ちゃんが向かいに座った。


氷の入ったグラスに出来立てを注ぐ。


氷がカチンと高い音をたてる。


未開封のロイズのチョコレートを開けながら、


「昨日から明日まで日光へ2泊3日」


理緒ちゃんが僕の目を見つめる。


「へえぇ。」


「勤続2年で、今まで旅行なんて一度もなかったのに、今年に入って頻繁に出かけてます。」


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