君の向こうのココロ
まだ初夏だって言うのに街の空にはすでに赤とんぼがとんでいる。




季節を間違えてしまったのかな。




もう夏が終わりそうな気分。




それにしても、あ~腹減った。




腹目一杯満たしてベットに横たわりたい…。




突っ伏して寝たい…




腹を満たしたところでココロが満たされるわけじゃないのはわかってる。




沙空と過ごす夏を思い描いていただけに、あっという間の終わりに脱力感がつきまとってくる。



そのときケータイが慌ただしく鳴り響いた。



僕のココロは驚いて、手の中でケータイを踊らせてしまう。



落として壊してしまったら~。



わかっているのに、僕は焦ってしまう。




「わっわっ、わっとっと。」




あやうくケータイを掴みそこねるところだった。




よかった。まだ鳴ってる。




「ぁ。はいもしもし。」



「ミラノ亭です。ご予約いただいておりますが…ご予約の時刻がすぎてしまいましたが…本日も生憎混んでいるため、どうされるかご都合をお伺いしたいのですが…。」



がつーんと後頭部を岩で殴られたような気がした。



沙空と行こうと思って予約してたんだっけ…

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