君の向こうのココロ
見つめたまま理緒ちゃんが続ける。


「この前は伊香保温泉だそうです。でも、手土産は草加煎餅でした。」


「はい~?」


僕の語尾が変なイントネーションを奏でる。


なんか嫌なにおいがぷんぷんするぞ。


なぜ伊香保に行って草加煎餅なんだ?


伊香保は群馬県ですよ…。


「まさか…浮気ですか。」


コクンと理緒ちゃんはうなずいてしまった。


「それで泣いてたの?」


ブンブンと理緒ちゃんは首を横に振った。


!!!違うのかいっ。


僕はてっきり落ち込んでるのかと思った。


理緒ちゃんがロイズのチョコレートの箱をおもむろに解体しはじめた。


その下から、神村のにやけたプリクラがでてきた。


下品なにやけた顔がいやらしい…。


そしてその神村の隣には一人の女性。


女の人がうっとりとした顔でうつっている。



―君といると毎日がどきどき〔ハート〕



なんて言葉も入っている。


手を腰にまわしあい、ひっついている。


この、ばかちん…。


どんなつもりで、プリクラなんて撮ってるんだろ。


見てるこっちは気味が悪いよ…。
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