君の向こうのココロ
少したって理緒ちゃんが落ち着くと、僕と離れてからの気持ちを話してくれた。


「弟に相談した時に、言われました。
『姉貴は信さんの思い通りになってる』
って。」


「言われて辛くなかったの?」


「そのときはね。それから弟には
『信さんが姉貴といるのは愛じゃないよ。人が持っているものを奪いたかっただけ。』
っていうんです。」


「神村に襲われてから、自分を見失ってしまって、探しても探しても見つからないのです。」


「このままでいいやって自分放棄しちゃってて。いないんだもん。見つからないよね。自分の気持ちに向き合うときがあっても、動かせない現状に悲しくなってた。」


「神父様の前で誓いの返事をした時、先輩が後ろにいた。自分に対して罪悪感で一杯だった。新郎友人で招いた神村を恨んだょ。」


「投げやりで読んでた両親への手紙も、投げ出したくて、声を詰まらせたとき、『頑張れっ』て先輩が叫んだ。どうしてそこにいるの?って我に返ったんだ…。」



理緒ちゃんが何を言ってるのか一瞬理解できなかった。


理緒ちゃんの必死な助けてのサインのようにも思えた。
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