君の向こうのココロ
僕の中の熱いものが一気に頭まで駈け登る。




「もぅっ キャンセルでおねがいしますっ!!」



なかばなげやりに電話の向こうの店員に八つ当たり。




「か、かしこまりました~。またご利用お願い致します」




少しひるんだ店員の声に、僕がまた驚く。




「あ…、お忙しいところすみませんでした。」




一瞬で冷静になった僕は謝ってみた。




謝ってどうこうじゃないけど。



どうりで腹が減るわけだよ。




遅めの昼食をとっても良いし、お茶してもいいと思ってイタリア料理のお店を予約していたんだ。




いつも行列のできるお店で、平日でも1時間は待ってしまうんだ。




雑誌に紹介されて人気が出た。




神経質に予約まで取ったのにな…。




電話を終えた携帯を閉じて、僕の足は迷った。




また独りぼっちになった。





8年前に大好きな彼女を失ってからというもの、なかなか素直になれない。




周りの友達は結婚して、家庭を持ち始めてる。




結婚が早かった友達はもうすぐ子供が小学生になるし。



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