君の向こうのココロ
理緒が明るく元気な元の理緒に戻ってくれるのなら


僕は、いつでも話を聞くし、いつでもそばに行く。


僕からは求めたり、困らせたりしない。


神村は旅行から帰るととてつもなく元気だったらしい。


まるで浮ついている感じに見えたとか。


「お土産買ってきたんですよ。笑ってしまいました。趣味の悪いお香セットとか。私が好きなのはアロマオイルなんですけどね。」


ってメールが翌日の夜に来た。


「一応気ぃつかってるじゃん」


と僕が返信すると、


「押し付けがましくって…『これ買ってきたんだからもっと喜んでくれるかと思った。』って怒り出しちゃうし…。ほんと大っ嫌い。しかも“強羅”って書いてありました。」


僕はそのメールを見ておなかを抱えて笑ってしまった。


強羅って箱根です。


日光とは正反対です。


土地勘のない子供じゃないか、まったく。


理緒ごめんな~。神村はとっても笑える。


当事者たちには申し訳ないが端から聞くとそのやり取りは実に面白いもので、神村のおばかな姿が目に浮かんでくる。


全く持って先の事を考えていないのだろう。


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