君の向こうのココロ
そんなこと露骨に言える訳ないし…


「あ…いや、叱られたよ。」


「な、なんでですか。」


「『姉貴を助けてください』って。」


僕は貴くんの言葉をそのまま言ってしまったのだけど…


他に言葉が見つからない。


貴くんは僕の気持ちをわかってたから。


「何か失礼なこと言いませんでしたか。あの子…。」


理緒が悲しい顔をする。


「いや、それを言われなかったら自分の気持ちに正直になれなかったよ。」


「正直に…?」


理緒が聞き返す。


「理緒ちゃんをまだ好きだって…。」


理緒の顔が赤くなる…。


「いや、あの、それはこの間私が色々言ったから、先輩流されてそんな気持ちになっちゃったのではないですか?」

理緒がそんな風に言うとは思わなかった。


「この間理緒ちゃんの気持ちを聞いたでしょ。今日でよければ僕の気持ちを聞いて欲しいんだ。軽い気持ちじゃない。」


「えぇっ。」


理緒はまた驚いて僕の顔を見る。


「理緒ちゃんはつらい事背負ってるし、結婚もしてるし。」


何を言ってるのか分からなくなる。


頭がまとまりません…。
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