君の向こうのココロ
「独身の僕に振り回されてしまうと感じるかもしれない…。」


理緒がきょとんとする。


さっきから顔が七変化状態で大変もうしわけないと思うのだが、支離滅裂な僕の話は続いてしまう。


「理緒ちゃんの事、諦めきれてないんだ。神村のあの話を聞いてなかったら、吹っ切れてなかったし、あの話を聞いてるのに、何もしない自分はもっと後悔すると思った。」


理緒は僕の目を見てた。


涙を浮かべて。


「理緒…。泣かないで。」


僕はとっさにそう言ってしまった。


「…理緒って、呼ばないでよぉ。気持ちが崩れちゃうよぉ。今まで…とどめてた気持ちがわかんなくなっちゃう!」


「どちらにしても、僕は理緒が好きだ!」


理緒が両手で顔を覆ってる。

「とどめてた気持ちのままで、理緒は楽になる?僕もとどめてた気持ちあるよ。」


「う、うぅ…」


理緒の目から涙があふれる。

「遠くから見守るだけでもいい。そばでこうやって話を聞くだけでもいい。僕をわがままに扱って構わない。理緒が笑っていてくれる何かになれるのであれば、あの時助けてあげられなかった分、今から助けたい。」
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