君の向こうのココロ
「8万円ちょっとあります…。」


「それは生活費にあててるもの?」


「ううん。違うよ。」


「よし!理緒。これから僕が教えるから投資をやろう。」


「と、投資??」


「それなりにリスクも伴うけど、安全に管理すればノーリスクも有り得る!理緒は本屋に勤めてるから、参考書に囲まれているようなもんだよ。」


「投資ですか…。」


「安易に考えないで、今日の返事じゃなくてもいい。なんなら僕の本たちも貸し出しします。」


「先輩…。」


「ん?」



やっぱ乗り気じゃないよなぁ。


うまくいけば自立できるんだけどなぁ。


「先輩はいつも私に刺激を与えてくれるんですね。今も昔も。」


「へっ?」


僕は奇妙な声を出してしまった。


「投資の勉強してますよ。まだ実際にやり取りはしてないけどね。」


「なんと!それなら話は早い。僕がここへ来る口実にしたかったんだ。」


「先輩が株とか経済の本を買って行くのを見て、少し読んだだけなんですけど…。」


「いやそれなら話は早いよ。」


理緒が笑ってる。



これが何よりも一番嬉しい。


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