君の向こうのココロ
僕が買う本をチェックしてたってこと…?


理緒。


「必ず投資の本の新刊は読んでました。先輩より先にね。」


「それって書店員の特権じゃん。」



フフフと理緒が笑う。


「そうじゃなきゃ、先輩に追いつけないもん。今目の前で笑ってるなんて想像してなかったよ。」


「追いかけてたの??僕なんかを?」


「えぇ。僕なんかを追いかけてましたよ。好きなんだもん。」


好きなんだもんって…


うわぁ…


今言わないで…。


僕はうつむく…。


神様…僕は好きな人を目の前にどうにもできないんですか…。


僕たちは思いあっているのに…。


「先輩?どうしました?」


理緒は今自分で言ったことはどうも思ってないの?


サラッと言ったけど、照れるかどうかしてよ。


昔も、気持ちを打ち明けてしまうと、こんな感じで…


つまり天然で…


いつも僕のココロが勝手に燃え上がっちゃって、


キスしてしまったり


抱き締めてしまったり


抑制が聞かないわけになってしまうのです。


今まさにあの頃と同じ心境で…


今、そんなことしたらやばい…
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