神に愛されし巫女
1章
━始まり━
「━━い、大丈夫かー?」
「━━聞こえてるのかー?」
(ん?誰かの声が聞こえる。)
私は重たい瞼を開く。目の前に広がる光景に驚くのはほんの数秒後。
私がいたはずの駅のホームはホームでなくなり、周りには木々が生い茂っていた。
何より驚いたのは、
(目の前に、兎?しかも、喋った?)
『変な、夢…。』
私は自分に夢と言い聞かせ、もう1度目を閉じた。
「おい!おーきーろ!」
突如頬に痛みが走る。
『い、痛い!な、なに!?』
「何寝ようとしてるんだよ!」
『だ、だって、兎が喋るなんて夢でしかありえないじゃない!』
「う、兎!?お前失礼だぞ!俺はれっきとした召喚獣の茶太郎様だぞ!」
『え、ええっと、茶太郎?』
私はおずおずと名前を口にすると、茶太郎は満足そうに頷く。