私の声届いてますか？

トントン。



入学式が終わり、教室に戻ってる途中後ろから声を肩を叩かれた。



振り返ると、1人の美人な女の子が……。



「私、藤原木乃香！あなたの名前は？」



早口で口の動きが分からない…。



ノート…。




私はポケットから手帳サイズのノートに…。



『私は、木村花音です。私は耳が聞こえないんです。さっき、言った言葉をここに書いてくれませんか…？』




「あ、じゃあ大丈夫！大丈夫！」




顔が引きつっているのがわかる…。




大丈夫って言ってる…。




声をかけた女の子は、どっかに行ってしまった。




……いっか。




私はそのまま、名前の書いてあった席に座った。
私の席は、一番後の窓側の席。1番良い席かもしれない…。



クラスの皆は、初めての人達とお話中。多分…。




私は会話することが出来ないから…、寝ておこう。




夜、緊張して眠れなかったから、丁度いい。




うん、丁度いいんだ。



私はそのまま、机に伏せた。




＿＿＿トントン！




何分か経った頃に私を叩き起す人がいた。




顔を上げると、女の担任の先生が面倒くさそうに黒板に指を指している。




黒板の方を見るとデカデカと自己紹介という文字が書かれてあった。




あ、もしかして私……?




私は自分の指で自分を指すと、先生は不機嫌そうに頷く。




私は立ち上がり、黒板に向かう。



その行動に驚いてる生徒も見えた。



だって自分の席だと自己紹介できないじゃん。



私はチョークを取り、綺麗とも言えない字を黒板に書く。




『初めまして。私は木村花音と言います。私は耳が聞けえません。なので、皆さんに迷惑がかかります。それでも、皆さんと仲良くなりたいので宜しくお願いします。』



書き終わったあと、みんなにお辞儀して自分の机に戻る。



みんなの反応は、びっくりしてる人もいれば、めんどくさそうに見てる人、そして哀れんでる人それぞれがいた。



それでも私は気にしない…。



どうせ、聞こえないんだから。