きさらぎの眼
チク..タク..チク..タク..

時計の針の音が淡々とリビングに響く
朝食を終えてから兄はずっと神妙な面持ちでソファーを離れない
私が席を立つごとに
「どこに行くのか」と聞いて来る。
トイレ以外で席を立とうとすると
「ここにいろ」と言うばかりだった。
やはり今日の兄はおかしい。
ただ時折時計の針を気にしている。
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