クロネコ童話
Ⅳのバッジのクロネコは皇帝、Ⅲのバッジのクロネコは女王と呼ばれていました。

ポン、と皇帝クロネコが膝を叩きます。

「よし。すぐに準備しよう。コーヒーの入れ方はわかるね?」

「「「はい! 一通りはっ」」」

14匹のクロネコは、一斉にお返事。息はぴったりです。

元気のいいわりに頼りない言葉に、皇帝も女王も、その周りの三人もちょっぴり苦笑い。

「それじゃあ、この魔術師クロネコを付き添わせてあげよう! とっても物知りだから、きっとすばらしいコーヒーの入れ方を教えてくれるさ!」

「ありがとうございます!」

お礼を言うAバッジのクロネコに、皇帝の横から進み出たクロネコが手を差し出します。

首の金バッジには、Ⅰと掘られていました。

「すばらしいコーヒーを入れましょうね」

「はいっ」

指のないお手てながら、ぎゅ、と握手です。

そして、14匹のピンクリボンと、魔術師クロネコは、部屋を出ていきました。
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