クロネコ童話
そんな15匹を見送って、皇帝と女王の横に控えていた二匹が口を開きます。

「よろしいのですか、魔術師をつけてしまって」

と言ったのは金バッジにⅡと掘られたクロネコ。

そして、

「ふむ。少々軽率ではありませんかな?」

と小首をかしげたのは、金バッジにⅤと掘られたクロネコです。

Ⅱのクロネコは女教皇、Ⅴは法王と呼ばれていました。

皇帝クロネコは、ゆったりと背もたれに身を任せます。

「僕らご主人と、このカフェあってのぬいぐるみなのだからね。尽力は惜しまないさ」

「それに、魔術師が手伝うコーヒーだなんて、傑作に違いないでしょう?」

女王クロネコの付け足しもあって、女教皇と法王は、顔を見合わせました。

その顔には、ちょっぴりの不安と、大きな興味が浮かんでいます。
「ちょっと……」

「見守りに行きますかな」

そんな二匹を、やっぱり皇帝と女王は、優しく見送りました。
< 7 / 15 >

この作品をシェア

pagetop