見守る恋じゃダメですか

 「っ私が泣いてたらどうするのよ?」

ちょっといじけたようにそう言うと、彼の目がすっと細められた。
さっきの暖かな目が一瞬にして消えたのだ。

 「それが誰であろうと容赦しません。夏華が悲しんだりするのを見るのは嫌ですから」

 「ねぇ、輝琉ってたまに病んでるよね」

 「そんなことありませんよ?僕は夏華に笑っていて欲しいだけです」

彼はニッコリと笑って言った。

うん、でもやっぱり私の彼氏病んでるよね?
たまにちょっと怖いなって思ったりするんだよね。
怒らせちゃいけない人の枠に確実に入るよね。

まぁ、彼は私が本当に嫌がることはしないと思うから怖がる心配なんていらないんだけどね。

 「ありがと」

 「何度も聞きましたよ。その言葉」

 「だって、感謝してもしきれないからしょうがないよ」

 「そうですか?なら…」

彼は一旦足を止めて私の正面に立ってて、

 「なら、夏華からキスしてください」

そんな爆弾をいきなり投下したのだった。
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