見守る恋じゃダメですか
「っでも、ほら!ここ学校だよ?」
慌てて彼にそう告げ両手をブンブンと振った。
「知ってますよ。それに、ありがとうの言葉よりも僕はそっちの方が嬉しいです」
何でこんな急に強気になるのよ!
彼は私の目をじっと見つめてくる。
こうなった彼は私でも止められない。
…止め方が分からない
私は覚悟を決めて彼の首に手を回しつま先立ちになる。
「今日だけだから…」
そう言うと私は彼の頬にキスをした。
触れるだけのキスでも胸がバクバクと騒がしくなる。
私が手を離し彼から距離を取る。
「…唇じゃないんですね」
何でそんな不服そうな顔するのよ…
これで精一杯なのに…
「そんなこと一言も言ってなかったじゃない」
「僕はこっちの方が好きです」
そう言って彼は私の頬を包み唇にキスを落とす。
そっと音もなく離れ、彼は私の手を取って歩き出した。
「さぁ、帰りましょうか」
突然のことで固まる私をよそに、彼にクスクス笑いながらも足を進めたのだった。