見守る恋じゃダメですか
「違うってば!もうっ夏華ちゃんまで…」
彼女は拗ねたように視線を逸らす。
「沙耶、おいで」
佑斗が彼女の名前を呼ぶと彼女は素直に従って彼の傍に行く。
「怒ってる?」
彼女はフルフルを頭を振って否定した。
「じゃあ、ヤキモチ?」
躊躇しつつも彼女が小さく頷くと、佑斗は愛おしそうに彼女の髪を梳いた。
その2人の姿はとても微笑ましく見えた。
もう私の心に靄が掛かることもない。
「邪魔者は帰りましょう」
私はそっと輝琉に告げた。
彼は無言で承知し、歩き始める。
私はそっと2人に『ばいばい』と言葉を残して教室のドアを閉めた。