見守る恋じゃダメですか
長い廊下を歩く。

 「羨ましいです…何故僕だけ違うクラスになってしまったんだか…」

進級してからというもの、4人で一緒に過ごすことが多くなった私たち。
だから、余計に仲間はずれなのが嫌なのだろう。

 「私も、輝琉と同じクラスが良かった…」

私は彼の手をきゅっと握った。

 「そういえば…」

彼は何か思い出したように声を上げる。

 「どうしたの?」

私は首を傾げた。

 「さっきの言い合い廊下まで聞こえてましたよ」

彼はクスクスと笑いながらそう言った。

 「嘘!」

そんな大きい声で言い合いしてたなんて無自覚なんだけど!
てか、めっちゃ恥ずかしいじゃん…!

 「何で止めてくれなかったの?」

 「夏華も楽しそうだったのでいいかなと」

 「楽しそうって…」

 「教室覗いた時に幸せそうな夏華か顔を見て安心しました」

私の頭を撫でる彼。
優しく笑うその瞳にドキっと胸が高鳴った。
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