黒猫系男子は今日も気まぐれ!?
 

校門をくぐると環境委員の人たちが門の前へ先生と一緒に並んでいた。
委員の一人が「あいさつ強化週間!」と大きな黒い字で書かれた、黄色いハデなハタを重たそうに抱えていた。

まるで応援団が持つハタと間違えたんじゃないのか…。そう思ってしまう程、ハタは重そうだ。

挨拶をして校内へ入る。朝練で走っている野球部が横を通りすぎて行った。

そういえば、今日は数学の小テストがあると先生が昨日の授業で話していた気がする。
嫌だなぁ…。教室へ向かう足取りは自然と重くなった気がした。

教室へ入ると朝早くからクラスメイトが、一つの机を囲んで、何やら話していた。
どうしたんだろう。遠目から眺めていると、

「ハルおはよう。」

色の薄い髪をゆるく巻き、耳元で2つに結んだエリカが、声をかけてきた。

「おはよう、エリカ。ねぇ、あれってどうしたの?」

あれ。つまり前の席へ集まっているクラスメイトを指差した。

「ああ、あれね。ほら今日って数学の小テストがあるでしょ。だから委員長に勉強を教えて貰ってるのよ。」
「委員長…」

人だかりをよく見てみると、確かに囲まれているのは委員長のようだった。
淡いピンク色のメガネに、規則通りの膝丈のスカート、きっちりと切り揃えられた髪は三つ編みだ。

今時、漫画の世界から抜け出してきたみたいな、真面目なスタイルを委員長は入学式から保ってきている。

 
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