黒猫系男子は今日も気まぐれ!?
「ここでこの公式を当てはめて…。するとこの答えが出るから、そうしたら最後にこの数で割ると…。」
ほら、解けるよ。と優しく微笑んだ委員長に、皆で「おー!」と歓声を上げた。
凄い。説明を聞いてるだけでなのに問題の解き方が私にも分かった。
…委員長って、もしかして天才?
「アイってすげーな!」
問題が解けたと喜ぶクラスメイトの中で、一人だけテンションが高い人がいた。
「……渡辺。」
エリカが呟く。
そう、委員長のプチ勉強会で誰よりも喜んでいたのはチャラ男こと、渡辺くんだった。
自分のノートと委員長のノートを見比べては大げさに喜んでいる。その度に、ウサギのヘアゴムで止めた金髪の前髪がピョコピョコと動いている。
「委員長っていつも本を読んでるよね。何を読んでるの?」
ボブヘアー女の子が委員長に話しかけた。
「実はこれ漫画なんだ…。」
委員長は照れくさそうに言うと、ウサギが描かれたピンク色のブックカバーを外した。中からは最近よく目にする少女漫画の名前が書かれいた。
「漫画なの!?」「え、凄く意外!」
「私もこの本読んでるよ。いい話だよね。」
いっせいに女子が目を輝かせ、この漫画が好きとか、このシーンが良いとか、話が弾む。委員長も嬉しそうに笑っていた。
あまり漫画とか興味なさそうに見えていたけど、思ったより委員長って話しやすいのかも。
女子の皆で楽しそうに話している様子を、チャラ男くんはニコニコと笑って見つめていた。