黒猫系男子は今日も気まぐれ!?
朝練を終えたクラスメイトが続々と教室へ入ってきた。しばらくするとHRを告げるチャイムが鳴る。
「委員長ありがとう!」
「また教えてね~」
「う、うん!」
こうして、委員長のプチ勉強会はお開きとなった。
チャイムが鳴って、少し時間が経ってから先生は遅れて教室に入ってきた。急いできたのか息を切らしている。
「先生、遅いぞー」
遅れてきた先生へ誰かが茶々を入れた。もう、声で誰なのか検討がつく。
「用事があって遅れたのよ。まったく…渡辺秀くんってば…。」
「げっ、フルネームで呼ぶの勘弁してくれよ。俺、自分の名前が嫌いなんだよねー。」
「素敵な名前だと先生は思うけれど。」
先生は不思議そうに首を傾げた。
クラスメイトの皆も渡辺秀ことチャラ男くんを見ている。
「「秀」っていう文字。まるで秀才みたいじゃん?」
「確かに「秀」という文字には、ひいでる。とか、すぐれる。という意味があるわね。」
「だろ?俺、見た目通り頭は良くないしさ。とにかく似合ってないの!」
確かにそうね、と隣でエリカが小さく笑った。多分、本人には聞こえていない。
「でも、私は渡辺に「秀」って名前は似合ってると思う。」
「どうして?」
「接してみれば分かるよ。」
「へぇ…」
先生とクラスメイト両方から笑われているチャラ男くんを見ながら、エリカは意味ありげに言ったのだった。